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基町高「原爆の絵」知って 広島 北海道の生徒と交流

 2007年度から被爆者の体験を聞き、「原爆の絵」を描く基町高(広島市中区)創造表現コースの生徒と卒業生らが23日夜、北海道音威子府(おといねっぷ)村のおといねっぷ美術工芸高の生徒39人と交流した。創作を通じた体験継承に懸ける思いを語った。

 モデルの一人で元原爆資料館長の原田浩さん(78)=安佐南区=が橋渡しし、市文化交流会館(中区)で対面。原田さんが死体を踏み越えながら火の手を逃れる様子などを描いている基町高3年山土莉奈さん(18)は「死体の山など見たこともないものを描く作業は想像以上に困難。力を尽くし、悲惨な体験が伝わる作品にしたい」と話した。

 卒業生の杉江湧愛(ゆめ)さん(18)は1年の時に原田さんの体験を描いた絵のパネルを手に「被爆者から詳しく聞くのは思い出したくない記憶をえぐり出すこと。それでも『原爆被害は二度とあってはならない』と感じてもらえる作品を描きたかった」と強調した。

 北海道北部にあるおといねっぷ美術工芸高は道内各地や東北、関東などから入学した生徒が学ぶ。今年初めて、広島での平和学習を企画した。3年の佐藤綾音さん(18)は「私も戦争や原爆という重いテーマを描き切ることができるか、考えた。日常の幸せを奪うのが戦争、という制作者の思いを作品から感じた」と話していた。(金崎由美)

(2018年4月24日朝刊掲載)

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