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[イワクニ 地域と米軍基地] 硫黄島で来月離着陸訓練 岩国基地など予備施設に

 中国四国防衛局は26日、米軍岩国基地(岩国市)の空母艦載機が5月3~13日、硫黄島(東京)で陸上空母離着陸訓練(FCLP)をする、と市と山口県に伝えた。天候不良などで硫黄島で訓練できない場合の予備施設として岩国など国内3基地が指定された。艦載機が3月末に厚木基地(神奈川県)からの移転を完了して以降、初のFCLPとなる。

 FCLPは、滑走路を空母の甲板に見立てて離着陸を繰り返す訓練。防衛局によると、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機など全4機種が参加する。予備施設の指定は10~13日の午前10時~午後10時。岩国のほか、厚木基地と三沢基地(青森県)が指定された。

 その後、パイロットが空母への着艦資格を得る訓練(CQ)が5月中旬から下旬にかけ、九州沖で4日間程度行われる。洋上の空母への離着艦を繰り返すCQについて、米軍はFCLP後、10日以内の実施を定める。防衛局は「米側からさらなる情報が得られれば、地元自治体に知らせる」としている。

 日本政府や在日米軍司令部でつくる日米合同委員会は25日、CQに伴う緊急着陸先として航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)を使うことを承認した。宮崎県によると、米兵10人ほどが同基地に待機。艦載機が燃料切れや悪天候で岩国に戻れない場合、一時的に着陸するという。

 一方、岩国市と山口県は26日、防衛局に対し、岩国基地を使わず硫黄島でFCLPを完了することや、今後、岩国基地を予備施設に指定しないことを米側に要請するよう申し入れた。CQについても、艦載機が滑走路の運用時間内の午後11時までに岩国へ戻るよう求めた。柳井市と同県周防大島、和木両町を加えた県基地関係県市町連絡協議会も27日、岩国基地などに同様の要請をする。

 激しい騒音を伴うFCLPについて、岩国市などは岩国基地での実施を認めていない。一方、米側は「岩国で実施しない」と明言していない。九州沖であるCQでは、同基地での夜間の離着陸が増える可能性がある。(松本恭治、和多正憲)

陸上空母離着陸訓練(FCLP)
 空母艦載機のパイロットが艦上での離着陸の技量を向上させ、維持するための訓練。滑走路を甲板に見立てて着陸直後に再び離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を繰り返す。夜間離着陸訓練(NLP)もその一つ。日米両政府は1989年、硫黄島での暫定実施で合意。日本政府は、恒常的な訓練施設の候補地に馬毛島(鹿児島県)の購入方針を示している。岩国では2000年を最後に実施されていない。

(2018年4月27日朝刊掲載)

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