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被爆の実態 J会場で発信 広島VS長崎「ピースマッチ」 原爆ドーム模型など展示

 安田女子大(広島市安佐南区)の学生たちが、いずれも被爆地を本拠地とするJ1サンフレッチェ広島とV・ファーレン長崎が対戦する「ピースマッチ」の会場で、被爆の実態を伝える展示会を開く。両方の地元で開催し、まずは28日、トランスコスモススタジアム長崎(長崎県諫早市)で、被爆前後の原爆ドーム(中区)と旧浦上天主堂(長崎市)の模型を並べる。

 同大では被爆70年の2015年から、3Dスキャナーによる建物測量や被爆前の写真の調査、被爆者からの聞き取りなどを通じて3Dデータを作成し、模型で再現する取り組みを進めている。造形デザイン学科2、3年の有志4人と染岡慎一教授、山下明博教授が、ドームと天主堂の被爆前後の模型を用意した。

 3Dプリンターで色合いまで忠実に再現した石こう製と、手に取れるプラスチック製の2種類。4月に作った石こう製の天主堂は300分の1程度の大きさ(高さ約15センチ)で、倒壊後はわずかな壁が残るだけだ。現在の天主堂は1959年に再建されており、染岡教授は「当時の姿を知ることができる貴重な模型」と訴える。

 V・ファーレン長崎がJ1に昇格し、今季初めてピースマッチが実現。同大の取り組みを知った同クラブから4月中旬、打診があり、急きょ準備を進めた。8月11日、エディオンスタジアム広島(安佐南区)でも展示を予定。約120個の木製部品を使ったドームと天主堂の模型を、子どもたちに組み立ててもらう企画も考えている。

 28日の試合当日は、V・ファーレン長崎の高田明社長とサンフレッチェ広島の山本拓也社長が会場でトークイベントを実施。両クラブの選手が平和への思いを語ったビデオメッセージを試合前に流す。

 現地で展示を説明する2年福島彩加さん(19)は「来場者に原爆投下で何が起きたのかを知ってもらい、平和を考えるきっかけにしてほしい」と話している。(江川裕介、矢野匡洋)

(2018年4月27日朝刊掲載)

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