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禎子さん級友 活動写す 「原爆の子の像」建立60年

元恩師宅に写真 反核折り鶴囲む

 佐々木禎子さんの死をきっかけに、広島市の平和記念公園に「原爆の子の像」が除幕されて、5月5日で60年。建立に向け、街頭募金などの運動に立ち上がった禎子さんの幟町小(現中区)の級友たちの活動を伝える写真を貼ったアルバムが、元恩師宅に保存されていることが分かった。(桑島美帆)

 禎子さんたちの担任だった野村剛さん(2010年に84歳で死去)の遺品で、長男の良男さん(62)が中区の自宅で見つけた。1950年代に教え子を撮ったらしいスナップ写真のうち、建立に携わった子どもたちの様子を伝えるものが、約10点あった。

 特に目を引くのは高校生となっていた15人が、無数の書き込みのある巨大な折り鶴を囲む写真。除幕式の数日前のものとみられる。

 この折り鶴を巡るエピソードが、像建立の経緯を追った作家那須正幹さんのノンフィクション「折り鶴の子どもたち」で明かされている。級友たちは原水爆禁止の署名を折り鶴に集めて除幕式に飾ろうとしたが許されず、平和記念公園の片隅で燃やしたという。

 この1枚に写る水野志津子さん(75)=西区=は「大きな模造紙で鶴を折り、通行人に署名を募った記憶がある。大人たちに、ほごにされて悲しんだ」と思い返す。建立運動が盛り上がり、映画化もされる一方で、きっかけとなった少年少女の思いとは離れた部分もあったとみられる。

 原爆の子の像を巡る経緯に詳しい原爆資料館学芸課の菊楽忍さん(59)は「初めて見た。子どもたちの気持ちが映る、貴重な写真だ」と説明する。

 見つかった野村さんのアルバムには像の除幕式に出席する禎子さんの遺族の写真などもあった。一部は5月12日に幟町小にオープンする「のぼり平和資料室」で役立てられる。

(2018年4月30日朝刊掲載)

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