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「原爆の絵」紹介本に奨励賞 平和・協同ジャーナリスト基金 

 反核、平和などの分野で優れた作品を発表した個人や団体を表彰する「平和・協同ジャーナリスト基金」の今年の奨励賞に、被爆者が描いた原爆の絵に、奈良市の元会社社長河勝重美さん(83)が日英両語の説明文を付けて編集した本「ヒロシマ原爆地獄」が6日、選ばれた。

 A4判、236ページ。死体が浮かぶ川や、死んだ母にすがりつく子ども、黒焦げの遺体など、原爆資料館(広島市中区)所蔵の絵約150枚を載せている。

 本の制作は、河勝さんが資料館で原爆の絵を見て衝撃を受けたのがきっかけ。2008年にドイツ語版、10年に英語版の電子書籍、11年には日本語版を出した。費用は、広島で被爆したり家族を亡くしたりした旧制中学の同級生2人と賄った。

 奨励賞は大賞に次ぐ賞で今年は7点。原爆の惨禍を世界に伝えようと個人的に努力した点などが評価された。

 東京出身の河勝さんはドイツのパナソニックの現地法人社長を務めるなど50年以上ドイツで生活。「受賞を励みに、フランス語や中国語など他の核保有国の言葉でも制作、さらに原爆の残酷さを訴えたい」と話す。

 2千円。資料館内で販売。河勝さんTel0742(93)8065(ファクス兼用)。(増田咲子)

(2012年12月7日朝刊掲載)

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