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社説・コラム

天風録 『折り鶴と花の祭典』

 わっしょい、わっしょい。みこしが子どもと大人に担がれ広島市の平和大通りを進む。きのう開幕したフラワーフェスティバル。ダンスや音楽隊など華やかなパレードの中でも折り鶴の形をしたみこしは目を引いた▲「折りづるみこし連」による行進。市民ら500人以上が30羽の折り鶴みこしとともに、非核化の願いを沿道に笑顔で発信していた。「世界へとどけ 花と平和のメッセージ」という、ことしの祭典テーマそのままに▲折り鶴を高く掲げている「少女」が、平和記念公園にもいる。「原爆の子の像」である。生きたいと願い、千羽鶴を折り続けた佐々木禎子さんをしのび、子どもたちが募金活動をしてつくった。こどもの日のあす建立60年を迎える▲「原爆のある人間の世界は嫌」。禎子さんは病床でつぶやいたという。そして「今度生まれるときはバラの花になりたい」とも。そんな思いを映しているのか。像近くのバラ園は今が見頃。赤や黄色の大輪が咲き誇る▲フェスティバルの間、折り鶴みこしは公園の芝生広場に展示され、きょうは本紙ジュニアライターが像建立の歩みをステージで発表する。禎子さんも花の祭典を喜んでくれていることだろう。

(2018年5月4日朝刊掲載)

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