×

ニュース

プーチン氏に広島訪問要請 知事、露次官に書面

 広島県の湯崎英彦知事は8日、4月下旬の欧州出張で訪れたロシアでモルグロフ外務次官と会い、プーチン大統領の被爆地・広島訪問を書面で要請したと明らかにした。湯崎知事がロシア政府高官に直接、働き掛けたのは初めて。モルグロフ氏は「必ずプーチン大統領に渡す」と回答したという。

 モスクワで27日にあった日本の観光情報を発信するフォーラムの会場で、要請書を手渡した。要請書では「核兵器の悲惨さを身をもって知っている被爆者は、高齢化した今も廃絶を訴えている」と強調。世界の政治リーダーに訪問を呼び掛けてきたとして「広島で被爆の実相に触れ、全ての核兵器の廃絶に向けた決意を固めてほしい」と求めた。

 湯崎知事は「外務次官というプーチン大統領と非常に近い方に要請できた」と説明。ロシアは核軍縮や廃絶で非常に大きな役割を担っているとして「首脳会談やイベントなどの機会をとらえて、これから6年間の任期の間にできるだけ早く来てほしい」と願った。

 スイス・ジュネーブでは2020年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会に出席した。「核兵器禁止条約を巡り、保有国と非保有国の亀裂が広がっている印象だ。このままでは厳しい対立のまま20年を迎えかねない」と危機感を示した。

 欧州滞在中の27日には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が朝鮮半島の非核化の意思を示した。「北朝鮮は何度も約束をし、ほごにしてきた。完全かつ検証可能で不可逆的な放棄につながるか、確認していかなければ安心できない」とした。(村田拓也)

(2018年5月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ