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父の遺志継ぎ戦没者を慰霊 音戸 きょう法要

 呉市音戸町渡子にある戦没者慰霊碑で12日午後1時半~3時、慰霊の法要がある。建立者の死去後、一時途絶えていたが、家族が敷地内に寺を建てたのを機に、7年ぶりに復活させる。

 慰霊碑は、会社会長だった同町の金本邦夫さん(2012年に93歳で死去)が1997年、私財を投じて建てた。台座の銘板には日清戦争以降に亡くなった町出身者821人の名を刻む。法要は金本さんが亡くなる前年の11年まで続けていた。

 金本さんの長女夫妻で、ともに僧侶の平尾聖順さん(76)、惠香さん(73)が昨年9月、寺を建立、聖順さんが住職に就いた。遺志を継ぐために法要の復活を決めた。

 戦時中、海軍に召集された金本さんは、南太平洋で乗っていた輸送船が撃沈され、2日間、木片につかまって漂流した経験がある。「慰霊は生き残った者の責務」と言い続けていたという。

 聖順さんは「戦争を知る人が少なくなる中で、より多くの人が平和への願いを新たにする機会にしたい」と話している。(見田崇志)

(2018年5月12日朝刊掲載)

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