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[イワクニ 地域と米軍基地] 過半数地 うるささ悪化 沖合移設前比 艦載機移転影響か

 米軍岩国基地(岩国市)周辺の山口、広島両県に設置された騒音測定地点で4月、滑走路の沖合移設前の年平均と比べて「うるささ指数(W値)」が過半数で悪化していたことが16日、分かった。3月で完了した厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機移転が影響したとみられる。

 国と山口県、岩国市が山口、広島両県の基地周辺に設置した騒音測定器のうち、2010年5月の沖合移設前の09年度からあった計24地点で平均W値の増減を調査。ことし4月(月間平均)と09年度(年間平均)を比べると、過半数の13地点で増加していた。

 最も増えたのは大竹市の阿多田島。4月の平均W値72・8と09年度より8・6ポイント増加した。次いで周防大島町の浮島小が同63・6で7・5ポイント増、岩国市装束町が同57・2で7・1ポイント増、江田島市の沖美支所が同52・3と6・2ポイント増―など。

 県別でみると、山口県(19地点)では、沖合移設前に騒音被害が激しかった岩国市旭町や同市車町など10地点で沖合移設前を下回ったのに対し、広島県(5地点)は大竹市西栄を除く4地点で上回った。

 国は騒音対策で約1キロ沖合に滑走路を移し、10年5月に運用開始。山口県は沖合移設前より騒音が悪化しないことを艦載機受け入れの判断基準としていた。

 今回の測定結果を踏まえ、同県の村岡嗣政知事はこの日の記者会見で「騒音は日々の米軍機の運用で大きく増減する。瞬間を捉えるよりも、一定期間の検証をする必要がある」と述べた。(和多正憲)

うるささ指数(W値)
 航空機騒音の評価指標の一つ。騒音が続く時間や回数、時間帯を考慮して算出し、数値が大きいほど騒音がひどいことを表す。昼間より生活への影響が大きい夜間を重視して評価する。国は環境基準で、住宅専用地域では70以下と定めている。70は、地下鉄車内の音に相当する80デシベルの騒音が日中に1日50回あったときのうるささに相当する。

(2018年5月17日朝刊掲載)

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