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震災復興 映画に刻む 宮城の漁村で撮影重ねる

 井口高(広島市西区)で英語を教えるカナダ人のエステル・ヘーベルさん(27)が、宮城県石巻市内の小さな漁村に何度も通い、東日本大震災から復興しつつある様子をドキュメンタリー映画にしようとしている。来年秋の完成を目指す。(二井理江)

 外国人指導助手(ALT)として、2010年8月から同校で教壇に立つヘーベルさん。石巻市は、昨年7月、ボランティア活動で初めて訪れた。インターネットで知り合い、宿泊した現地の知人に連れて行ってもらった同市北東部の漁村、雄勝町船越は、ほぼ全てが津波で流されていた。約100隻あった漁船も3隻になっていた。

 しかし、出会った漁師たちは、地域や漁業を何とかしようと取り組んでいた。「船越が再建できるか、大きな不安を抱えつつ前向きに進もうとする頑張りを、世界の人たちに知ってもらいたい」。そう考えたヘーベルさんは、カナダ・トロントの大学院でドキュメンタリーメディア制作を学んだ経験を基に、カメラを回し始めた。

 週末を中心に、これまで10回現地入り。津波で壊れたままの家、撤去される大きながれき、仮設住宅での祭り、数少ない漁船での漁、漁具を入れる新しい倉庫の建設風景、生活再建のため、石に絵を描いて首飾りやブレスレットを作る女性たち…。100時間以上も撮影した。

 「今、世界では毎年のように大災害が起きている。もっと関心を持つきっかけになってほしい」。来年夏の帰国までには、さらに5回程度、船越を訪れ、同年11月には1時間~1時間15分の作品に仕上げるつもりだ。

(2012年12月11日朝刊掲載)

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