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[イワクニ 地域と米軍基地] 米軍低空飛行 目撃1881件 広島県内 艦載機移転で1.5倍

 広島県内で2017年度に目撃された米軍機とみられる低空飛行は延べ1881件に上り、調査を始めた1997年度以降、2番目に多かったことが18日、県の集計で分かった。前年度の1・5倍で、3年連続の増。特に下半期(17年10月~18年3月)を比べると1・7倍の1067件で、米軍岩国基地(岩国市)へ空母艦載機が移転した影響が隣県にも表れた格好だ。

 県内23市町のうち、9市町で目撃情報があった。最多は北広島町の1221件(前年度比312件増)で、安芸太田町が412件(219件増)で続いた。ともに過去最多で、両町で全体の9割弱を占めた。両町には西中国山地の米軍の訓練空域「エリア567」がかかる。当時、緊迫していた北朝鮮情勢を背景に頻繁に訓練していたことがうかがえる。

 岩国市に近い県西部の廿日市、大竹両市はそれぞれ101件(10件増)、85件(79件増)。特に大竹市は14・2倍に急増し、下半期だけで大半の73件が集中していた。広島市も32件(27件増)と過去3番目に多かった。市西部の西、佐伯両区で7割を占め、影響が色濃く出ている。

 このほか庄原市12件(8件増)▽江田島市9件(3件増)▽三次市8件(4件減)▽呉市1件(皆増)。

 夜間・早朝(午後7時~翌午前7時)の目撃件数も211件で前年度の1・8倍になった。一方、日米合意で「(訓練を)必要不可欠なものに限定する」としている土日祝日では20件減の62件。県は近く、県民が暮らしている地域での低空飛行訓練の中止を日米両政府に要請する。

 米海軍の艦載機約60機は17年8月上旬から18年3月末にかけて厚木基地(神奈川県)から段階的に移転。岩国基地の所属機は既存の海兵隊機を含めて約120機に倍増し、極東最大級の航空基地になった。(村田拓也)

(2018年5月19日朝刊掲載)

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