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栃木県被団協が解散 関東初「役員減り運営できず」

 栃木県原爆被害者協議会(県被団協)が19日、解散した。1958年の設立時から核兵器廃絶と被爆者救済を訴えてきたが、会員の高齢化が進み、継続を断念した。日本被団協によると、都道府県単位の団体では奈良、滋賀、和歌山に続く解散で、関東では初めてという。

 県被団協はこの日、宇都宮市で総会を開き、被爆者6人を含む役員全8人が出席した。中村明会長(87)が「頑張って原爆反対を訴えてきたが、役員も減り、運営していく力がもうない」と説明。「結成から60年で幕を引く」とする解散宣言を全員で採択した。

 県内の学校などから今なお体験証言の依頼があるため、今後は証言を収録したDVDを貸し出すことを確認。毎夏、市内で営んできた原爆犠牲者の慰霊祭については、平和団体などと対応を協議することにした。

 県被団協の会員は現在80人余り。60年代半ばには約400人いたという。広島で入市被爆した中村浩事務局長(90)はあいさつで「核兵器は地球の破滅につながる。廃絶を見ずに解散するのは残念だ」と声を振り絞った。

 来賓として参加した日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(86)は「重要な仕事をしてこられただけに、解散は残念。全国では、被爆者が減っても家族や支援者が事務を担っている地域もあり、可能な限り各地で活動の継続を追求したい」と話した。

 日本被団協によると、都道府県単位ではほかに、山形の団体が自然消滅し、徳島の団体が脱退した。(田中美千子)

(2018年5月20日朝刊掲載)

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