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福島民話守れ 支援の紙芝居 広島市民グループ手作り

 広島市の市民グループが、福島県いわき市で「ふくしま紙芝居まつり」を初めて開いた。同市には福島第1原発事故の避難者約2万4千人が暮らし、東日本大震災の影響も色濃く残る。地元の民話を描いた紙芝居の熱演に、被災者たちは古里への愛着を強め、復興への勇気をあらためて奮い起こした。(山田太一)

 9日の祭りは、広島市の「まち物語制作委員会」と「ボランデポひろしま」、いわき市の復興支援グループなどでつくる実行委員会が企画。会場の東日本国際大には約500人が集まった。

 広島市からは16人が訪れた。6カ所に分かれ、民話や偉人伝など福島ゆかりの41本を含む計54本を上演。お年寄りは、懐かしい古里が出る場面では深くうなずいて聞いていた。

 原発事故で浪江町の家を離れて県北部に暮らす石井啓輔さん(69)は「孫の世代に地域の文化を残したい。広島からの支援はありがたい」と話していた。

 広島市のグループは昨年末から、福島の仮設住宅を回って民話を聞き取り、住民から昔話を募って紙芝居を作っている。まち物語制作委の福本英伸事務局長(56)は「紙芝居を使って住民が交流できる場をつくることができるよう支援を続ける」と話していた。

(2012年12月11日朝刊掲載)

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