×

ニュース

[イワクニ 地域と米軍基地] 防音工事 対象を拡大 防衛局「うるささ」80以上に

 中国四国防衛局は31日、米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転に絡み、住宅全体の防音工事の対象区域を本年度から拡大すると市に説明した。うるささ指数(W値)の基準を現行の「85以上」から「80以上」にし、新たに基地周辺の約278ヘクタールを対象にする。市が安心安全対策として拡大を求め、国は実施を約束していた。

 国による住宅防音工事は「第一種区域」(75W以上)が対象。4段階ある工事のうち、住宅全体の「外郭防音工事」は最も高い防音効果が期待できる一方、適用基準も厳しい。防衛局によると、80W以上への拡大は岩国に特化した施策。新たな区域は基地北側の昭和町や南側の尾津町の一部などで約4200戸ある。対象住宅には、2011年9月20日までの建築などの条件がある。

 この日、赤瀬正洋局長が市役所を訪れ、福田良彦市長と非公開で面会。赤瀬局長は、住民説明会を開いた上で工事の申請を受け付ける意向を示したという。福田市長は「基地周辺住民の静かな生活環境の確保の一助となり、地域経済の活性化につながる」とのコメントを出した。

 市は08年、艦載機移転に絡む43項目の安心安全対策を国に要望。その一つに外郭防音工事の対象区域を75W以上に拡大することを挙げた。国は昨年5月、「80W以上にする」と回答していた。

 厚木基地(神奈川県)からの艦載機約60機の岩国移転は3月末に完了。基地周辺では4月、騒音測定回数が前年同月に比べ、大幅に増加した。(松本恭治)

(2018年6月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ