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[イワクニ 地域と米軍基地] 深夜に艦載機が着陸 九州沖訓練開始後初の時間外 日中・夜の騒音悪化

 岩国市の米軍岩国基地に5月31日深夜、滑走路の運用時間(午前6時半~午後11時)外に空母艦載機1機が着陸した。九州沖の太平洋上で始まったパイロットが着艦資格を得るための訓練(CQ)後、岩国に戻ったとみられる。CQ開始後の時間外運用は初めて。この時の着陸音は騒音レベルではなかった一方、CQに伴い運用時間内の日中や夜の騒音は悪化している。

 31日午後11時45分ごろ、ジェット機1機が滑走路南側から着陸した。中国新聞のカメラが捉えた機体番号から、艦載機のFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機と分かった。

 CQは洋上の空母への離着艦を繰り返す訓練。30日に始まり、期間は4~6日間程度とされる。毎日数十機が昼から夜にかけて段階的に岩国基地を離陸。訓練後は空母に格納される機体を除いて午後11時ごろまでに岩国へ戻る予定だが、基地は31日、「同日から来週にかけて滑走路を運用時間外に使う可能性がある」と市に連絡していた。

 CQ開始後、日中や夜の騒音は悪化している。31日、市が基地南側に設置する騒音測定器は53回の騒音を記録。最も遅い時間は午後9時56分で、この日の最高値の85・8デシベルを計測した。80デシベルは交通量の多い道路に相当する。

 市民から市に寄せられた苦情は41件に上り、前日(21件)から倍増。開始前の苦情は28日が8件、29日は11件だった。

 一方、基地の北東約6キロに浮かぶ大竹市の阿多田島では、島外の市民5人が31日午後から1日朝にかけて騒音状況を調べた。

 騒音を測定するスマートフォンのアプリで簡易的に調べた結果、90デシベル程度を複数回記録した。午後10時以降は目立った騒音は聞こえなかったという。参加した市民グループ「おおたけ風の会」の中井和行事務局長(67)は「隣同士の会話が聞こえないほどうるさい時もあった。毎日聞かされる住民は耐え難いだろう」と話した。(松本恭治、藤田智、白石誠)

(2018年6月2日朝刊掲載)

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