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原爆の悲惨 どう伝える 米占領下の検閲研究 堀場清子さん 冊子に手記

 米占領下の原爆文献の検閲問題を研究してきた広島市出身の詩人堀場清子さん(87)=千葉県御宿町=の手記「伝えられなかったヒロシマ・ナガサキ」が、明治学院大国際平和研究所が発行する冊子「南を考える」に掲載された。

 堀場さんは1980年代、米国に眠る占領下の検閲資料を調べ、95年に2冊の本を出版した。今回の冊子では、その研究を振り返るとともに日本敗戦から占領軍が到着するまでの間、日本の報道機関が被爆直後の凄惨(せいさん)な写真を世界に発信できなかったという見方から、「人類最初の核攻撃を受けた日本人がなすべき『宿命』だった」と指摘する。

 堀場さん自身の体験も寄せた。14歳だった当時、緑井村(現安佐南区)で医師をしていた祖父の元へ疎開していた。病院に押し寄せた重傷者の対応に追われたという。

 英訳文も掲載し、82ページ。主に高校、大学生向けで、原爆資料館や国立広島原爆死没者追悼平和祈念館などに寄贈した。同研究所の高原孝生所長(63)は「原爆がもたらした人間的悲惨を深く受け止め、世界にどう伝えていくかを考えるきっかけにしてほしい」と話す。(増田咲子)

(2018年6月4日朝刊掲載)

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