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戦艦大和の遺品引き揚げ 海洋開発会社、火薬缶など18点 呉市に寄付

 九州南西沖の東シナ海に沈んだ戦艦大和について、2016年に沈没地点周辺を調査した海洋開発会社が大和の遺品の一部を引き揚げていたことが4日、分かった。世界最大級の46センチ主砲に使われた火薬缶など計18点。大和が建造された呉市にいずれも寄付され、同市の大和ミュージアムが保管している。

 16年5月に呉市の委託を受け、大和を潜水調査した呉市発祥の深田サルベージ建設(大阪市)。調査後に沈没地点で無人潜水探査機を使って引き揚げ、所有権のある国から払い下げを受けた後で同年12月、呉市に寄付した。

 火薬缶は直径50センチ、長さ86センチの円筒型。中に火薬が残った状態で大和の船体周辺で見つかった。腐食が進み、ふたは取れた状態だった。1・5メートル測距儀やボイラー部品などもあった。

 大和には火薬缶が千発分積み込まれていたとされ、缶1個に約50キロの火薬が入っていた。1発発射するのに5、6個が必要だったという。大和ミュージアムの戸高一成館長は「大和型の火薬缶の引き揚げは初めて。この大きさは大和型にしかない貴重なものだ」としている。

 大和ミュージアムは遺品の調査を終えた後は一般への公開も検討している。同社中国支社の花戸忠明支社長補佐は「戦後73年がたち海底に沈む大和の劣化も激しい。実物をたくさんの人に見てもらい、戦争の悲惨さを知ってほしい」と話している。(今井裕希)

(2018年6月5日朝刊掲載)

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