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福島原発 被災者支援考える 原爆資料館でシンポ

 原爆被害者相談員の会は16日、広島市中区の原爆資料館東館で福島第1原発事故の被災者支援策を考えるシンポジウムを開いた。被爆者を支えてきた経験から、福島でも「被曝(ひばく)線量を推定するため、事故後の行動記録を残すように」と訴えた。

 相談員や原発事故被災者たち計10人が参加した。相談員の会の三村正弘代表(67)は、福島県浪江町と飯舘村を11月に視察した結果を報告した。

 町村は原発事故後の行動を記録する手帳の利用を住民に呼び掛けているが、必ずしも利用されていない点を指摘。「被曝に対する偏見を恐れているのではないか」と話した。

 パネル討議では、4人が意見を述べた。福島県郡山市から尾道市に避難している介護施設相談員手塚雅孔さん(44)は「娘2人の健康影響を心配している」と訴えた。相談員の会の三宅文枝副代表(59)は「医療補償や生活支援を受けるためにも、行動記録を残してほしい」と勧めた。

 相談員の会は、被爆者の被爆者健康手帳の交付申請を手助けしてきた。当時の記憶があいまいで交付を受けられない人も多いことから、今後は東北地方のソーシャルワーカーと連携して、被曝の記録を残す重要性を伝えていく。(柳岡美緒)

(2012年12月18日朝刊掲載)

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