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衆院選回顧 民意と投票行動にずれ 山口2区 出口調査

 衆院選の投開票から一夜明けた17日、2区で初当選した岸信夫氏(53)が地元で会見するなど、大勝した自民党や、公明党の県関係者は政権復帰への準備を進めた。一方、惨敗した民主党などは再起へ向けた動きをスタートさせた。自民党が山口県内4小選挙区で全勝し、公明党が比例代表中国ブロックで2議席を得た今回の総選挙を、2区の出口調査の分析や記者座談会などで振り返った。

「岸氏投票」の有権者

「上関原発反対」51%

 中国新聞防長本社は、上関町への原発建設計画などの課題を抱える衆院山口2区で公示後の5~16日、期日前投票を含む出口調査をし743人から回答を得た。当選した自民党新人の岸信夫氏に投票したと答えた417人のうち、51%(214人)が上関原発計画に「反対」と答えた。岸氏は選挙戦で上関原発計画について推進・中止に言及しておらず、専門家は今選挙で多くみられる民意と投票行動のずれの一つと指摘する。(衆院選取材班)

 岸氏は選挙戦で「今の段階で上関原発計画をどうするか結論を出すことはできない」と述べていた。2区から立候補した民主党前職の平岡秀夫氏(58)と共産党新人の赤松義生氏(58)は「反対」、日本維新の会新人の灰岡香奈氏(29)は「凍結」としていた。

 出口調査では、岸氏に投票したと答えた人のうち、51%が「進めるべきだと思わない」と回答。「進めるべきだと思う」は16%、「どちらとも言えない」は32%だった。

 上関原発計画の是非について「進めるべきだと思わない」と答えた人は62%。この回答者のうち46%が岸氏に投票したと答えた。

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転の賛否についても質問。岸氏に投票したと答えた人のうち、50%が「どちらとも言えない」と回答。「賛成」29%、「反対」19%だった。

 岸氏は中国新聞のアンケートで艦載機移転の賛否に「どちらとも言えない」とした上で「重要なことは日本の安全保障に対する認識を日本国民が等しく共有することだ」と答えている。

 投票先を決める上で重視した政策を8項目から一つ選んでもらった。最多は「経済・雇用対策」で44%。「社会保障制度」「原発」が10%ずつ、「消費税」が8%だった。

 調査結果について同志社大政策学部の山谷清志教授(政策評価論)は「民主党の党内抗争や多党化などもあり、原発や基地などの争点が隠れ、民主党政権に対する拒否権行使の投票行動になった。その結果、政治と民意とのずれが生まれている」と指摘している。

 出口調査は岩国、柳井、光、下松市と周防大島町の計9カ所の投票所前で実施。期日前投票があった5~15日に470人、投票日の16日に273人の有権者から投票を終えた後に聞き取った。男性425人、女性318人から回答を得た。

(2012年12月18日朝刊掲載)

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