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代表委員に田中氏選ぶ 朝鮮半島非核化求め決議 日本被団協 定期総会閉幕

 日本被団協は14日、東京都内で定期総会を続け、昨年8月に88歳で死去した谷口稜曄(すみてる)代表委員の後任に、長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)会長の田中重光氏(77)を選んだ。朝鮮半島の非核化の前進を訴える特別決議を採択し、2日間の日程を終えた。

 代表委員は広島、長崎、関東エリアから各1人、計3人を選んでいる。田中氏は、総会終了後の記者会見で「重責だが、被爆者が生きているうちに核兵器廃絶の道筋をつけられるよう頑張りたい」と語った。広島の坪井直氏(93)、関東の田中熙巳(てるみ)氏(86)はいずれも留任する。

 総会では、史上初の米朝首脳会談を受け、朝鮮半島の非核化が実現するよう、各国政府に具体的な努力を求める特別決議を採択。核兵器禁止条約の早期発効を目指し、署名運動を強めることなどを盛り込んだ本年度の運動方針も決めた。

 意見交換の場で、広島県被団協の佐久間邦彦理事長が「広島は二つの被爆者組織がある。一緒になって活動していきたい考えがある」と発言。もう一つの同県被団協(坪井直理事長)の前田耕一郎事務局長が「正式に申し入れがあれば、きちんと受け止める」と応じる場面があった。

 両団体は、旧ソ連や中国の核実験への姿勢などを巡って原水爆禁止運動が分裂したのとほぼ歩調を合わせ、1964年から別々に活動してきた。佐久間氏は取材に対し、自身の発言は以前から述べてきた私見で、「組織決定した内容ではない」と述べた。(田中美千子)

(2018年6月15日朝刊掲載)

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