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爆心直下 旧細工町のVR 福山工高生制作、被爆者に紹介

 被爆前の広島の爆心地付近を再現するバーチャルリアリティー(VR)を制作中の福山工業高(福山市)計算技術研究部の生徒が、爆心直下の旧細工町(現広島市中区大手町)エリアのVRを完成させた。16日、近くに住んでいた被爆者森冨茂雄さん(88)=広島市西区=に体験してもらい、森冨さんは被爆前の子どもたちの生活の様子を語った。

 VRは被爆者の証言や写真資料を基に、建物の傷みや透き通った元安川を詳細に再現した。ゴーグル型の装置を着けると、360度の仮想空間が現れる。

 森冨さんは西区の井口公民館でVRを体験。細工町は子どもの頃の遊び場だったという。爆心直下の島病院の中庭でビー玉をして遊び、広島県産業奨励館(現原爆ドーム)内で陣取り合戦をした思い出を披露。「当時の雰囲気があり、よくできている。福山の高校生が懸命に活動し、頭が下がる思いだ」と話した。

 同部は2016年、爆心地半径300メートルのエリアの被爆前後を再現するVRの制作を開始。現在は被爆前のVR映像の改良を重ね、来年以降は旧中島本町や旧猿楽町エリアも完成させる。岡田芽衣副部長(17)は「被爆前の広島を、証言に忠実に残したい。被爆者の方に懐かしんで見てもらえるとうれしい」と話していた。(高本友子)

(2018年6月17日朝刊掲載)

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