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被爆外壁 東側に使用 広島アンデルセン 建て替え計画決定

 広島市中区の本通り商店街に残る唯一の被爆建物で、ランドマーク的存在の広島アンデルセンについて、持ち株会社のアンデルセン・パン生活文化研究所(同区)が被爆外壁を一部使った建て替え計画を決めたことが18日、分かった。東側2階のコンクリート製の被爆壁を切り抜き、新しいビルの東側2階に貼り付ける。近く内部から取り壊し工事に着手。2020年内の完成を目指す。

 関係者によると、営業休止中の旧館(2階建て)と新館(8階建て)の解体作業に7月上旬に入る。その後、5階建てのビルを新築。外観はルネサンス様式の旧館のデザインをベースにする。延べ床面積は現在に比べてコンパクトになる。

 また南側には、「ポケットパーク」と呼ぶ約200平方メートルの開放空間をつくり、市民に憩いの場として自由に使ってもらう。

 旧館に残る被爆した外壁はいずれも2階部分で、本通り商店街に面する北側と、東側の2面(各長さ約22メートル、高さ約7メートル)。建物は被爆後に改築を重ねたため、この部分だけが現存している。コンクリートの強度を調べた結果、北側の保存は困難と判断し、主に東側を使うことを決めた。

 アンデルセングループは2014年1月、若手社員を中心とした5人のプロジェクトチームを組み、末永く親しまれる店を目指してコンセプトや機能についての検討を重ねてきた。創業70周年となる今年の開店を予定したが、既存の建物に耐震工事を施すか、建て替えるかなど幅広い協議をする中、完成予定を20年に繰り延べた。どのような形態で営業するかについては引き続き詰めるとみられる。(山川文音)

広島アンデルセン旧館
 1925年に三井銀行広島支店として完成した、2階建てルネサンス様式の建物。帝国銀行広島支店だった45年に被爆した。爆心地から360メートル。67年にアンデルセングループが購入し、パンの製造販売やレストランなどの店を開いた。78年に隣接地に新館を建て、建物を一体化させた。2016年1月にこの地での営業を休止し、広島市中区紙屋町の仮店舗で営業している。

(2018年6月19日朝刊掲載)

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