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福竜丸展示 残すために 来月から9ヵ月間改修 休館中 出張展示に力

 東京都江東区の夢の島公園内にある都立第五福竜丸展示館は、老朽化した施設の改修工事のため、7月1日から来年3月31日まで休館する。9カ月にわたる休館中は、核被害の実態を伝える写真パネルの貸し出しや出張展示に力を入れる。

 同館は、米国が1954年に太平洋・ビキニ環礁で実施した水爆実験で被曝(ひばく)したマグロ漁船の第五福竜丸(全長約30メートル)を保管、展示している。鉄骨一部2階建て延べ約800平方メートルで、都が76年に開館。5年ほど前に再発した雨漏りによる船体への影響が懸念されていた。工事では屋根を全面改修し、トイレをバリアフリー化する。

 同館は船体に加え、船内で採取された放射性降下物「死の灰」の実物や航海日誌などを展示し、年間約10万人が訪れる。休館中は各地で関連の展示会を開き、核被害の実態について発信を続けたい考え。パネルや実物資料は有料で貸し出し、学芸員の派遣依頼にも応じる。

 半年以上の長期休館は初めて。同館は「貴重な船体を適切に管理し、将来に残すために必要な工事」と理解を求めている。休館中も平日はスタッフが常駐し、パネル貸し出しなどの問い合わせに応じる。同館☎03(3521)8494=6月末までは月曜休館。(田中美千子)

(2018年6月20日朝刊掲載)

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