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ネット平和講義 初収録 広島県12月開講 坪井さん 被爆を語る

 広島県は12月、原爆被害や核軍縮について学ぶ講義をパソコンやタブレット端末で受けられる、全5回のオンライン講座を始める。講師は東京大大学院の藤原帰一教授(62)=国際政治学。被爆者たちへのインタビューを交えながら各回50分の動画にまとめる。初めての収録が27日、広島市中区であり、県被団協理事長の坪井直さん(93)がインタビューに応じた。

 坪井さんはカメラの前で、爆心地から約1・2キロで被爆した惨状について証言した。救護を待つ自身の姿が写る、御幸橋西詰め(中区)周辺の写真を紹介。多くの助けを受けて命をつないだ体験を時折、声を詰まらせながら語った。

 藤原教授はこの日、原爆投下で亡くなった米兵捕虜たちの調査で知られる歴史研究家森重昭さんとも面会。2人へのインタビュー映像は、被爆の実態に迫る初回「広島 廃虚からのスタート」で活用する。

 講義内容は大学生向け。来年3月までに順次公開する。被爆者の高齢化が進む中、平和を担う次世代の人材の育成につなげる。インターネット環境があれば無料で視聴でき、県は10月、受講方法を案内する。

 収録後、坪井さんは若い世代へのメッセージとして「核兵器がなくなれば終わりではない。戦争についてもっと考えんといかん」と強調。藤原教授は「核兵器使用で何が起こるのかを肝に銘じ、国際関係について自分の頭で考えられる人を育てたい」と話した。(奧田美奈子)

(2018年6月28日朝刊掲載)

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