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「6日」目ざし急ピッチ 悲願託した4記念施設(広島県)

 洗礼10周年をあと旬余に迎えるアトム・ヒロシマでは原爆犠牲者供養塔をはじめ各所で慰霊、平和記念の設備が完成間近かに息吹き、8月6日を待っている。物言わぬ石に刻むノミの余インには亡き二十数万の人たちへ寄せる市民の悲涙と“原爆許すまじ”の悲願が静かに交錯しているようだ。

 ◆…広島市を東西に流れる百メートルグリーン・ベルト上に建設中の旧広島県女生、職員約300名の霊を祭る追憶碑はすでに9分通り完成している。「今学び舎のこの跡に受難のあとを弔いて…」これは万成石の碑にハートにホタルの由緒ある校章とともに刻まれた追憶詞である。

 原爆10周年を機に当時の校長土橋幸三助氏らが発起人となり、校友へ呼びかけ結実したもので、工費10万円。追憶碑の周囲には白、黒の那智黒石、五色石を散りばめている。

 ◆…人も知る中島町平和記念公園内の原爆供養塔、9年間風雨にさらされ見るも無残な姿と化した往時の姿はすでに面影を消してしまった。いま8月6日を目ざして本格的な建設が進められている。市会で150万円の予算も通過、去る6月8日から着手、7分通り出来上っている。設計は市立浅野図書館の設計者石本喜久治氏に依頼、ハシゴ形の霊地の周囲はカラ堀をめぐらし土まんじゅう型の芝生の下に納骨室が設けられる。近く似島に眠っている遺骨2千柱も合祭される。

 ◆…“平和の花で原爆犠牲者の霊を慰めよう”と有花会(会長森戸岸子さん)では百メートル道路白神神社に花壇を造ることになり4分通りの工事を進めている。工費8万円(うち市助成金3万円)コンクリートで固めた中央部2カ所の花壇の周囲には芝生、ベンチなどが配され、立体花壇の構想が盛られている。

 ◆…8月6日に刺激されて昨年6月新制作派山本常一氏から広島市へ贈られたハトの像が1年ぶりにやっと基町児童公園内に設置されることになった。現在台座造りに着手したばかりだが10日後には完成、ハトの像が平和の象徴として座る。

 この鳩は一昨年東京日比谷公園で催された野外展覧会に出品された優秀作で中央部に花を植えるクボミがありコンクリート造り300キロ。

(1955年7月17日朝刊掲載)

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