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観光周遊に活用期待 本川・袋町小の平和資料館 広島市推進懇

休日受け入れ体制 課題

 広島市が取り組む平和をテーマにした観光周遊「ピースツーリズム」の推進懇談会で、中区の本川小、袋町小にある平和資料館の活用を求める声が高まっている。両校とも原爆資料館に近く、被爆校舎を改装した施設で平和への思いを深めてもらう考え。ただ、本川小は大勢の来館が見込める土、日曜や祝日が休館で、受け入れ体制に課題もある。(江川裕介)

 爆心地から約410メートルに位置し、約400人が亡くなった本川小。市内初の鉄筋校舎を保存し、資料館として1988年に開館した。溶けたガラスや瓦など約60点が並び、保護者や元教員たちが務めるボランティアガイドに案内も頼める。来館者数は増加傾向で2017年度は2万7410人だった。

 だが、休日は学校が閉まり、学校敷地内にある資料館の鍵などを管理する職員もいないため来館を受け付けていない。休館を知らずに訪れ、がっかりして帰る人もいるという。

 一方、土、日曜、祝日も開館している袋町小の資料館は入り口が歩道に面しており、校門が閉まっていても単独で開けられる。市教委から運営業務の委託を受ける市シルバー人材センターが、鍵の管理や案内などを担う。

 本川小によると、地域住民からも通年の開館を求める声があるという。吉岡克弥校長は「被爆当時の実態を感じられる場所。なるべく多くの人に来てほしいのだが、対応できる職員がいないので難しい」と話す。

 昨年6月から平和や観光などの関係者たちが議論を重ねる懇談会は、両校の資料館を組み込んだルートを設定。本川小の資料館に対しては、「市が管理、運営するべきだ」との指摘も出た。

 これらの意見を踏まえ、市観光政策部は人員の配置や管理体制などの検討を進めている。元原爆資料館長で懇談会の原田浩座長(78)は「例えば学校の正門とは別に、資料館用の入り口を設けるなど、受け入れを充実させるためのアイデアを練りたい」と話している。

(2018年7月1日朝刊掲載)

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