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大林映画 20年ぶり尾道ロケ 原爆がテーマ 撮影安全祈願

 映画監督の大林宣彦さん(80)が、約20年ぶりに故郷の尾道市などをメインロケ地として、戦争と原爆をテーマにした新作映画を撮る。大林さんはがんで闘病中だが、同市の神社で1日、撮影の安全を祈願し、新作への思いを語った。

 最新作は「海辺の映画館―キネマの玉手箱―」。ミュージカル映画を見ていた若者たちがタイムスリップし、巡業中に広島で被爆した劇団「桜隊」のメンバーと出会い、ストーリーが展開する。

 この日、大林さんはスタッフたち約50人と、「時をかける少女」(1983年)などのロケ地になった尾道市長江の艮(うしとら)神社で出演者を紹介。大林さんはスタッフのサポートを受けながらも、しっかりとした足取りで境内を歩いた。「生まれ育った尾道は居心地が良くほっとする。戦争のばかばかしさを知る最後の世代として、未来を生きる子どもたちのために伝えたい」と語った。

 8月中旬まで、尾道、福山市で撮影。東京のスタジオに移り、9月ごろに撮影を終える予定。尾道市をメインに製作するのは「あの、夏の日 とんでろじいちゃん」(99年)以来。

 大林さんは、一時は余命宣告をされたが、抗がん剤治療で回復に向かっている。2月に尾道市であった映画祭で「平和な世界になるまで映画を作り続ける」と意欲を燃やしていた。(中間卓也)

(2018年7月2日朝刊掲載)

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