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モンゴル語版「ゲン」出版 子供支援NGOが絵本

 漫画家中沢啓治さん(73)の代表作「はだしのゲン」の絵本版がモンゴル語で製作され、モンゴル国内の小中学校や図書館などに贈られた。両国で活動するボランティア団体、モンゴル子供支援(ハイリンヒシグNGO)が国交40周年を記念して翻訳、出版し配った。この絵本が外国語に翻訳、出版されるのは初めて。(二井理江)

 絵本はA4判、55ページ。モンゴル語版700冊と、現地の盲学校向けの点字本20冊を出版した。きっかけは、モンゴル子供支援の江口喜多枝代表(57)=東京都=の現地での体験。「戦争になったらどうするか」と子どもたちに尋ねると、「親が殺されたらやり返す」との答えがほとんどだったため、「戦争や平和についてもっと考えてほしい」と翻訳を思いついた。

 昨年春には、日本の原子力発電所の使用済み核燃料を、モンゴルで貯蔵・処分する施設の建設案が一時出たことを知った。「放射線についての知識を身に付けてほしい」と感じたことも、出版への強い思いにつながった。

 ことし2月には、広島市中区の中沢さん宅を訪問。快諾を得てモンゴル語に訳し、さらに現地の絵本作家が子ども向けに読みやすく文章を練り直した。

 絵本の末尾に協力者の名前やメッセージが並ぶ。横綱白鵬関も「モンゴルの子どもたちが平和を愛し、安全に暮らせるように、祈りを込めて」と記している。中沢さんは「多くの皆さんに読んでほしい」としている。

(2012年12月24日朝刊掲載)

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