×

ニュース

8・6登校日 復活 広島市立の小中 84% 173校で

 広島市立小中学校で教職員の勤務を巡る法令の影響により昨年の「原爆の日」に登校日を設けられなかった問題で、市教委は5日、ことしは全小中学校の84・4%が8月6日を登校日とし、平和学習をすると明らかにした。市教委が文部科学省と協議して法令の解釈を変更した上、学校現場で「8・6登校日」の意義を見直す動きが広がった。(永山啓一)

 全205校のうち173校が、8月6日に平和学習すると決めた。内訳は小学校が全142校中132校(93・0%)、中学校が全63校中41校(65・1%)。いずれもテレビで市の平和記念式典を見て黙とうし、被爆者から体験を聴くなどの学習を予定する。

 昨年は全小中学校が、8月6日の学校主催の平和学習をやめた。教職員が原爆の日を市職員の「休日」とする市条例の対象となり、市教委が「(校長は)休日に業務を命ずることができない」とする国の特措法の規定を重視したためだ。教職員の人事権が昨年度、地方分権の一環で広島県から移ったことが影響した。

 市教委は昨年12月、「学校行事」の場合は休日に勤務できるとする特措法の別の定めに着目し、学校全体や学年単位で幅広く平和学習をする場合は「登校は可能」と改めた。ことし実施する各学校は、特措法に合わせて平和学習を年間のカリキュラムに位置付け、当日は出欠も取るという。

 2016年度に「8・6登校日」をした小学校は全141校中82校(58・2%)、中学校は全63校中32校(50・8%)だった。市教委は「昨年の議論で、結果的に学校現場で意義が見直された。児童生徒が主体的に発表する集会を企画するなど、内容を充実させる学校も増えている」と分析している。

(2018年7月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ