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被爆の手水鉢 修復 広瀬神社 「平和学習に役立てて」

 広島市中区の広瀬神社は、被爆して壊れたとみられる手水鉢(ちょうずばち)を修復し、73年ぶりに境内の元の場所に設置した。爆心地から北西約930メートル。神社は「地域の子どもたちの平和学習に役立ててほしい」としている。

 手水鉢は白御影石製で縦横いずれも約1メートル、高さ約0・7メートル。神社が昨年10月、社務所を建て替えた際、地中に埋まっていた手水鉢を見つけた。神社の紋が刻まれた手前部分が大きく欠け、四隅の角も取れていた。

 傷ついた姿を後世に伝えるため、補修は最小限にとどめた。6月、境内の参道脇に設置した。

 神社によると、手水鉢は神武天皇の即位2600年を祝う奉納品の一つで、1940年に設置されたという。別の奉納品のこま犬や石灯籠は境内に現存し、東南向きに強い衝撃を受けた跡がある。被爆で生じたがれきを境内に埋めたとの証言も伝わる。

 神社は戦後の区画整理で境内が縮小され、かつての敷地の一部に広瀬小が建てられた。渡部公彦宮司(48)は「子どもたちに原爆の傷痕を残す神社に足を運んでもらい、地域の歴史として伝えていきたい」と話す。(栾暁雨)

(2018年7月6日朝刊掲載)

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