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迫さんが見たヒロシマ 呉出身 入市被爆の写真家 湯来に資料館 きょう開館

 呉市出身で入市被爆した写真家の迫幸一さん(1918~2010年)が撮影した原爆投下前後の広島市内の写真や遺品を集めた資料館が7日、広島市佐伯区湯来町に土日限定でオープンする。長男の青樹さん(72)=佐伯区=が湯来町に持つ木造の建物を「写真サロン迫」として運営する。

 青樹さんが、幸一さんの生誕100周年となることしの開館を目指し、準備を進めてきた。代表的な20点を展示し、ほかの作品は画像データなどで紹介。幸一さんの弟で被爆者の基さん(故人)の手記なども並べる。

 幸一さんは、作家の心象を表現する主観主義写真の先駆者として活躍し、風景写真を多く残した。27歳の時には、八丁堀(現中区)にあった妻のマサエさん(故人)の勤め先を訪れて入市被爆した。

 死後、青樹さんが遺品を整理したところ、ネガや写真10万枚以上が見つかった。県産業奨励館(現在の原爆ドーム)や完成したばかりの原爆資料館など、1930~50年代ごろに撮影されたとみられるカットもあり、広島の歴史を刻んでいる。

 青樹さんによると、幸一さんは生前、被爆については全く話さなかったという。「それでも平和への思いは強かったのではないか。過去の歴史を知り、未来について考えるきっかけにしてほしい」と来場を呼び掛ける。

 無料。午前10時から午後5時まで。9日以降は土日のみに開館し、電子メールでの事前予約が必要。アドレスはs‐sako@cc22.ne.jp(辻本夕貴)

(2018年7月7日朝刊掲載)

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