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元南方留学生に名誉博士号 ブルネイ元首相ら3人 広島大が授与決定

 広島大(東広島市)は26日、前身の広島文理科大留学中に被爆したブルネイの元首相たち3人に名誉博士号を贈ると発表した。被爆者救護や帰国後の平和活動への尽力などに感謝し、授与を決めた。

 「南方特別留学生」として広島で学んだ、ブルネイ元首相ペンギラン・ユソフさん(89)、インドネシアの元国会議員ハッサン・ラハヤさん(90)、マレーシアの元大学講師アブドル・ラザクさん(87)。

 ユソフさんは日本との国交回復や天然ガスの対日輸出に道を開いた。ラハヤさんは日本への留学経験者を中心にした大学創設などに関わり、ラザクさんは日本語の教育者として両国の交流を促した。

 3人は被爆後、広島市民の救助に協力したという。帰国してからも日本との関係づくりに加え、被爆体験を伝えるなど平和活動にも尽くし日本政府から勲章も受けている。

 南方特別留学生は戦時中、大東亜共栄圏構想に協力させるため、日本が東南アジアの各地から来日させた有力者の息子たち。広島に原爆が投下された際には9人が被爆し、うち2人は死亡した。

 広島大の基本理念の一つ「平和を希求する精神」の実現に大きく貢献した点を評価した。浅原利正学長は「日本との懸け橋となり、平和の礎を築いていただいた」と感謝している。3人が加わり同大の名誉博士は11人となる。来年3月末までに教職員たちが各国を訪れ、名誉博士記を渡す。(新谷枝里子)

(2012年12月27日朝刊掲載)

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