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ICAN受賞を評価 広島市平和宣言 米朝会談も言及

 広島市の松井一実市長がことしの原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン)、本部スイス・ジュネーブ)の昨年のノーベル平和賞受賞を評価することが13日、分かった。ICANを例に、核兵器廃絶に向けて被爆者の声を市民社会に広める重要性を訴える。

 ICANは広島市南区出身の被爆者、サーロー節子さん(86)=カナダ・トロント市=と活動を共にし、昨年7月の核兵器禁止条約制定に貢献した。宣言は「被爆者の思いが世界に広がりつつある」と活動の成果に言及するとみられ、市民レベルの行動の大切さを強調する。

 米トランプ政権はことし2月に発表した新核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」で「使える核」とも呼ばれる小型核の開発を盛り込んだ。宣言は核兵器の近代化の動きを批判し、世界各国で台頭する「自国第一主義」への懸念も示す。

 6月の米朝会談にも触れる。朝鮮半島の非核化や平和構築に向けた動きを歓迎しつつ、対話の重要性を強調する内容を盛り込む。

 宣言文を検討する有識者や被爆者の最終懇談会が13日、市役所であり、文案が大筋で了承された。松井市長を座長に委員全10人が出席し、非公開で議論した。終了後、松井市長は「同じ人類として殺し合いはいけないという理性の継続を世界の為政者に訴えたい」と述べた。宣言は松井市長が8月上旬までに起草する。(永山啓一、水川恭輔)

(2018年7月14日朝刊掲載)

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