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「原爆の絵」基町高生の奮闘 広島県神石高原で21日公演

 福山市出身の作家井伏鱒二の生誕120年を記念し、小説「黒い雨」の舞台の一つとなった広島県神石高原町の住民有志たちが21日、同町で基町高(広島市中区)の「原爆の絵」の作成過程を題材にした演劇の公演を開く。小説を広め、平和を発信するプロジェクトの一環。

 公演は同町高蓋のさんわ総合センターで、午後3時から。作品は東京の劇団「青年劇場」が「あの夏の絵」と題して、2015年に劇化した。被爆者に聞き取りをし、現場に足を運びながら、原爆の悲惨な記憶を1枚の絵に仕上げていく高校生の姿を伝える。

 「黒い雨」は、被爆者の故重松静馬氏の日記を基に執筆された。同プロジェクトでは重松氏と書簡を交わし、被爆者に聞き取りを重ねて小説を書いた井伏の手法が、同校の継承方法と似ていることから劇団に公演を依頼。「黒い雨」の生成過程の演劇化も同劇団に依頼している。

 21日は会場で生徒たちの「原爆の絵」を展示。重松氏の養女の夫で、同プロジェクト実行委員会の重松文宏会長(82)と同校の卒業生との対談もある。文宏会長は「演劇という形で原爆の実相を知ってほしい。井伏と被爆者の心をプロジェクトを通じて伝えていく」と話している。一般3500円、中学生以下2千円。事務局大越貴之さん☎090(2754)5652。(高本友子)

(2018年7月19日朝刊掲載)

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