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遺構 年度内にも試掘 原爆で壊滅 平和公園の旧中島地区 広島市、前倒し検討

 原爆で壊滅した旧中島地区(現在の広島市中区の平和記念公園一帯)の街の遺構を広島市が2020年度中に公開する計画で、市が当初、19年度以降に予定していた試掘調査を、本年度中に前倒しする方向で検討に入ったことが22日、分かった。被害の実態を伝えるため早期公開を求める市民の声に応え、遺構の展示場所などの整備方針づくりを急ぐ。

 市は今月末、方針策定に向けて被爆者や文化財学などの専門家から意見を聞く懇談会を設置する。関係者によると、市は懇談会の初会合後、試掘調査時期を決めるという。

 市は、試掘によって地下の遺構の現存状況を確かめた上で、公園内での展示場所を決定する。15~17年に原爆資料館本館下の発掘で遺構が見つかったが、地中に免震工事を施すため別の場所を選ぶ。

 計画を巡っては、市民団体「広島平和記念公園被爆遺構の保存を促進する会」が5月、被爆75年の20年8月6日までの遺構展示の整備と公開を市に要望した。市は今後、早期整備を目指し、計画の許可を得るため文化庁との協議も進める。平和記念公園が国名勝に指定されているためで、景観維持との両立や公開による遺構の劣化を防ぐ方策などが課題になる。(水川恭輔)

(2018年7月23日朝刊掲載)

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