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「記憶受け継ぎ広めて」 被爆者、ジュニアライターに体験談

 被爆者の坪井直さん(87)=広島市西区=と、岡田恵美子さん(76)=東区=が、中国新聞のジュニアライターに被爆体験を語り、平和への思いを若者たちに託した。坪井さんは「被爆者の記憶を受け継いでもらい、広げてほしい」。岡田さんは「どうすれば核兵器をなくせるか、世界の子どもたちと考えてほしい」と呼び掛けた。

 坪井さんは、広島工業専門学校(現広島大工学部)3年の20歳の時、爆心地から約1・2キロで被爆し、大やけどを負った。避難途中の御幸橋西詰め(現中区)では、軍人が被災者をトラックに乗せる際、若い男性を優先したことに触れ、「戦争に役立つ者だけに人権があった。戦争は憎らしい」と語った。

 教師や中学校長などを経て、退職後に、広島県被団協の理事長や日本被団協の代表委員を務める坪井さん。「人の命が一番大事。命を奪い合う戦争は絶対に駄目」と訴えた。

 岡田さんは8歳の時、爆心地から約2・8キロの自宅で被爆した。嘔吐(おうと)や歯茎からの出血、脱毛に襲われた。建物疎開の作業に出掛けた姉は、行方不明になったままという。

 岡田さんは「原爆資料館にある生徒の遺品を見てほしい。同世代の子どもたちが生きていた証しをしっかりと胸に刻み、語り継いでほしい」と強調した。

 話を聞いたジュニアライターは、中学2年~高校2年の9人。広島の若者が平和のためにできることや、核兵器に関する考え方などについて質問した。高2の秋山順一君(16)は「被爆者の思いを受け継いでいく責任をあらためて感じた」と話していた。(増田咲子)

(2013年1月7日朝刊掲載)

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