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在米・ブラジル被爆者ら 133人が追加提訴  広島地裁

■記者 野田華奈子

 日本国内に居住していないことを理由に、健康管理手当の支給を打ち切られるなど被爆者援護法から切り捨てられ精神的苦痛を受けたとして、米国とブラジルに住む被爆者が国に慰謝料などを求めている集団訴訟で12日、133人が広島地裁に追加提訴した。

 昨年10月、163人が起こした一次提訴に次ぐ。弁護団によると、原告の1人は米国の被爆者協会に所属するメキシコ在住の男性で、5人は遺族。

 訴えによると、原告は、日本からの出国で健康管理手当などの受給権を失うと定めた1974年の厚生省局長通達(402号通達)の存在により、被爆者健康手帳の交付や手当の支給認定申請を断念せざるを得ず、「多大な精神的苦痛を被った」としている。

 提訴後の会見で、原告の1人で米国原爆被爆者協会の遠藤篤会長は「通達のために多くの被爆者が苦しんだ。厚労省に理解があれば訴訟を起こす必要はなかった」と国の姿勢を批判した。

 402号通達は2003年3月に廃止。通達が違法で国に慰謝料の支払い義務があることは過去の司法判断で確定しているが、厚労省は賠償について提訴を条件にしている。

(2009年2月13日朝刊掲載)

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