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「原爆の絵」名古屋で公開 広島・基町高生作 29日講演

 基町高(広島市中区)創造表現コースの生徒たちが被爆者の証言を聞いて描き続ける「原爆の絵」が、名古屋市名東区の平和資料館「ピースあいち」で公開された。29日には西日本豪雨の被災地、同市安芸区に住む3年曽根沙也佳さん(17)が災害を乗り越えて会場に駆け付け、思いを語る。

 生徒たちの絵は原爆資料館が保管し、原画が広島県外に貸し出されるのは初めて。卒業生が被爆女性の記憶を基に描いた原爆の閃光(せんこう)の絵など10点が丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」と一緒に24日から展示されている。曽根さんは生徒を代表し、卒業生や教員と会場入りする。

 曽根さんの自宅は直接の被災を免れたが、通学で利用する最寄りのJR山陽線瀬野駅が土砂や流木に埋もれた。通学できないまま夏休みを迎え、準備に張り切った高校最後の文化祭にも参加できなかった。しかし「原爆の時の方がもっと計り知れない恐ろしさがあったはず」と思い直し、名古屋で話をすることを気持ちの支えとしたという。

 自分自身は在日コリアンの被爆者の証言を作品にした。名古屋では展示されないが、1年間被爆者と向き合い、原爆投下の日の光景の色を出すのに苦労した経験を話す。「衝撃的な光景も記憶が薄れれば消える。私たち若い世代が聞いて残し、核兵器の恐ろしさを伝えないと」。できれば豪雨で経験した心細さを、被爆者の体験と重ね合わせて伝えたいという。(山本祐司)

(2018年7月27日朝刊掲載)

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