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福島で新人医師研修へ 広島大病院災害医療学ぶ

 広島大病院(広島市南区)は今春、新人医師向けに福島県の南相馬市立総合病院での研修プログラムを新設する。東日本大震災、福島第1原発事故の被災地で災害医療を学ぶのが目的。「臨床研修制度」で中四国地方の医療機関が被災地でのプログラムを設けるのは初めて。(田中美千子)

 免許取得後2年目の研修医から希望者を募る。研修期間は2週間。院内で外来診療やホールボディーカウンターによる内部被曝(ひばく)検査などを担うほか、南相馬市内の仮設住宅に出向き住民の健康管理にも当たる。

 広島大病院には対象になる研修医が40人いる。3月、第1号として女性医師が現地に向かう予定だ。

 広島大は原発事故後の2011年4月、長崎大(長崎市)とともに福島県立医科大(福島市)と連携協定を結んだ。その一環で、広島大病院は被災地の医療機関での研修を実施することにした。

 南相馬市の大震災による死者・行方不明者は636人。原発事故で帰還困難区域や居住制限区域などに指定され、震災前に約7万1千人いた市民のうち2万人以上が今も市外で暮らす。市立総合病院の金沢幸夫院長は「苦境が続く被災地の実情を多くの研修医に知ってほしい」と話す。

 広島大病院の田妻進・卒後臨床研修センター長は「被災者と向き合うことが若い医師の財産になる」と期待している。

(2013年1月10日朝刊掲載)

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