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終わりなき「ゲン」の思い 原爆資料館 未完の第2部 原画初公開

 自らの被爆体験を基にした漫画「はだしのゲン」の作者で、先月19日に73歳で死去した中沢啓治さんをしのぶ原画展が10日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。未完となった「ゲン」第2部の原画の複製が初めて一般公開された。

 「ゲン」の漫画や絵本、初めて原爆をテーマに取り上げた「黒い雨にうたれて」など6作品の原画の複製計30点が並ぶ。同館が2011年2月、中沢さんから寄贈を受けた約9500点から選んだ。

 白内障が進行したため、中沢さんが第1話の途中で執筆を断念した「ゲン」第2部。成長したゲンが絵の修業のため上京した後を描く構想だったという。

 公開されたのは第1話16ページのうちの4ページ。ゲンが列車で東京駅に着いた場面の下絵をはじめ、こま割りし、せりふだけ書き込まれたページもあり、制作過程を確認できる。

 原画展は31日まで。無料。前田耕一郎館長は「原画からは独特の筆致も見てとれる。間近で触れてほしい」と話す。原爆資料館は今夏、ゲンの連載開始40周年にちなんだ企画展も開く予定だ。(田中美千子)

(2013年1月11日朝刊掲載)

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