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平和の尊さ ドクさん語る 広島で講演

 ベトナム戦争中に使われた枯れ葉剤の影響で結合双生児として生まれ、分離手術を受けたグエン・ドクさん(37)が28日、広島市中区の広島国際大広島キャンパスで講演した。「ヒロシマ×ベトナム 平和への想(おも)い」と題し被害の実態や平和と命の尊さについて語った。

 昨年4月に同大医療福祉学部の客員教授に就任して初めての講演。米軍が1961~71年にまいたダイオキシンを含む枯れ葉剤により異常出産が続き、先天性の障害や病気に苦しむ子どもが今も多い実情を説明した。救済が進んでいないことにも触れ「罪のない人々を苦しめ続ける点で広島の原爆被害とベトナムは同じ」と訴えた。

 手術を含め40回以上来日しているドクさんは「日本の医療支援のおかげで今がある。両国の友好のため懸け橋になりたい」と強調。2児の父親として生きる今の生活についても語った。

 学生や市民約150人が耳を傾けた。同学部4年の堀川美菜海さん(22)は「戦争終結から40年以上たっても健康被害が続いていることにショックを受けた。世界から戦争をなくしたい」と話した。(栾暁雨)

(2018年7月29日朝刊掲載)

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