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複眼で見たフクシマ 元東電の原発技術者→内科医 経験つづり自費出版

 広島生まれの内科医師、小野俊一さん(48)=熊本市=が、東京電力で原発技術者として働いた経験などを基に「フクシマの真実と内部被曝(ひばく)」=写真=を自費出版した。福島第1原発事故の分析や、放射能除染などの課題を踏まえ、一人一人が今後どう行動したらいいかも提案している。

 母の実家のある広島市で生まれ、宮崎県で育った小野さんは、東京大を卒業し東電に入社。福島第2原発などで7年余り勤務した後、熊本大医学部に入り医師になった。

 原発技術者と医師の知識を基に、原発の仕組み、放射線の種類や人体への影響、外部・内部被曝の違いなどについて分かりやすく説明している。汚染されたがれきの処分や原発再稼働などの問題の対応策も提示。自分や子どもを守るため、現実にきちんと目を向け、自分の考えで動き、声を上げていくことが大切だと訴えている。

 原発で働いていただけに、現場の様子や社員同士の生々しいやりとりなどもあって興味深い。

 ブログ「院長の独り言」アドレスhttp://onodekita.sblo.jp/や、講演で話したことを基にした。小野さんは「福島第1、第2原発の津波や耐震を含む安全性の評価を担当していた。贖罪(しょくざい)の思いから執筆・出版した」と話している。190ページ。1575円。七桃社Tel096(355)7532。(宮崎智三)

(2013年1月14日朝刊掲載)

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