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被爆樹木保存 国が補助 厚労省検討 首相、8・6に表明か

 原爆の爆風や熱線を受けても枯れずに残っている「被爆樹木」の保存に向け、厚生労働省が広島、長崎両市への補助金を来年度予算案に盛り込む方向で検討していることが30日、関係者への取材で分かった。国が、後世へ惨禍を伝えようと取り組んでいる両市の支援に乗り出すかたちだ。安倍晋三首相が原爆の日の8月6日に広島を訪問し、表明するとみられる。

 自民党の被爆者救済を進める議員連盟(河村建夫会長)が同日、補助制度の新設などを厚労省に申し入れていた。

 原爆の悲惨さを語り継ぐため、熱線や爆風、放射線の痕跡が残っている樹木が対象。一部の根を切ったり、土壌を掘り起こして空気を入れたりして、樹勢回復のための措置への支援を検討する。

 被爆樹木は「被爆の生き証人」と位置付けられる存在で、広島市の被爆アオギリや長崎市の被爆クスノキなどが有名だ。これらの木々の種や苗木は、平和の思いを広げるシンボルとして国内外に配られている。

 厚労省は、被爆者が高齢化する中、直接体験を聞き取った上で次世代に語り継ぐ「被爆体験伝承者」の国内外への派遣事業も拡充する方針で検討する。

 長崎に関しては、国が指定した被爆地域外で原爆に遭い、被爆者健康手帳を交付されていない「被爆体験者」の支援に向け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)がある人への医療費助成制度の対象となる症状に「脂質異常症」を新たに加える方向で調整する。

(2018年7月31日朝刊掲載)

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