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中電 エリア外から熱視線 値上げ敬遠 購入打診相次ぐ

 中国電力に、営業エリア外の企業から電力供給を求める問い合わせが相次いでいる。昨年11月以降で約50件。原発停止で各社の値上げ申請が続く中、原発の割合が低く値上げの検討をしていない中電に注目が高まる。ただ同社は「コスト増になる可能性がある」とし、エリア外供給に慎重な姿勢だ。(東海右佐衛門直柄)

 「これまでにないペースで驚いている」と中電の担当者。昨秋以降、中国地方外の企業から「電力を供給してもらえるか」「電気を買うにはどうすればよいか」などの打診が約50件に上る。

 関西や九州、四国の企業が多く、関東地方への電力供給の可否を問う社もあるという。業種は、鉄工や食品などの製造業のほか、ホームセンターなどの小売り、飲食チェーンなど幅広い。

 背景には、全国で相次ぐ電気料金値上げの動きがある。関西電力と九州電力は10月末、いずれも4月をめどに料金を値上げすると発表。原発停止で代替の火力発電所の燃料費がかさんでいるためだ。

 企業など大口向けの電力供給は2000年から段階的に自由化されている。ただ、他地域から電力を調達するのは、九州電と契約するイオン宇品店(広島市南区)の全国1件だけにとどまる。

 従来、電気料金は原発比率の高い電力会社ほど割安で、原発比率の低い中国地方は割高だった。しかし福島の原発事故で状況が一変。原発の再稼働が見通せない中、今後は原発比率が高い電力会社ほど値上げ幅が膨らむ可能性があり、企業の間で電力会社を比較検討する動きが広がる。

 中電はエリア外供給について「当社と顧客の双方にメリットがあれば検討するが、現時点では困難」とする。中電も島根原発(松江市)の停止で火力発電所の燃料費がかさみ、13年3月期業績は赤字とみられている。同社によると、エリア外への供給でさらにコストが増えたり、電力の安定供給に支障が出る恐れがあるという。

<電力各社の値上げの動き>
          標準家庭料金              企業向け料金        原発比率
       1月現在  →値上げ後
関西電力 6772円   7404円            19.23%増         28%
中国電力 7183円   当面値上げを検討しない  当面値上げを検討しない  8%
四国電力 6826円   値上げする方針        値上げする方針       29%
九州電力 6610円   7021円            14.22%増          22%

※値上げ後の値は、電力会社の申請通りに認可された場合の4月の料金。企業向けの値上げ率は平均値。原発比率は出力ベース

(2013年1月17日朝刊掲載)

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