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社説・コラム

[ハロー ユニタール] 開設15年 広島とともに

 ユニタール広島事務所は今年、開設15周年を迎えました。初代所長で現シニア・アドバイザーであり、広島修道大教授のナスリーン・アジミさん(59)に設立当時について聞きました。

 ユニタールニューヨーク事務所長だったアジミさんが、誘致を目指す広島県関係者と初めて会ったのは1999年のこと。「これほど象徴的な街に国連機関がないとは」と驚いたそうです。約3年半のパイロットプログラムを経て、事務所設立が実現しました。

 2003年8月4日朝、ビルの屋上で初めて国連旗を掲揚。「小さなユニタールを広島が受け入れてくれた」と感無量でした。立ち会った警備員さんから「母と祖母はここで亡くなった」と聞き、原爆によるものと理解するのに少し時間を要したとか。この地の意味を改めて知ったということです。

 欧米と日本の商習慣の違いや、不安定な国々から研修生を連れてくることの難しさもともなって、設立当初からさまざまな問題に直面しました。それでも、とにかく温かい広島の人々は印象的だったと言います。

 研修生の姿を見るにつけ、平和と復興を学ぶのにこれ以上の場所はないと確信を深めていったそうです。できるだけ多くの人を広島に連れてくるために。私たちは歩み続けます。(守田葉子)

(2018年7月31日セレクト掲載)

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