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自由・民主主義を拡大 対ASEAN外交5原則を発表、中国けん制へ

■記者 岡田浩平 ジャカルタ発

 東南アジア諸国連合(ASEAN)を初外遊中の安倍晋三首相は18日、最後の訪問国となるインドネシア・ジャカルタでユドヨノ大統領と首脳会談を行った。その後の共同記者会見で、安倍首相はASEANと共に自由や民主主義などの普遍的価値の定着と拡大に努力することなどを柱とした、日本の対ASEAN外交政策の新たな5原則を発表した。

 日米同盟を基軸に、海洋国家として安全保障、経済両面で南アジア諸国とのつながりを強め、海洋進出を活発化させている中国をけん制する狙い。首相は会見で「中国が国際社会で責任ある行動をとることも重要だ」と述べた。

 発表した5原則では①自由、民主主義、基本的人権など普遍的価値の定着と拡大に共に努力②公共財である海は力でなく、法とルールで支配③自由で互いに結び合った経済の追求④文化のつながりの充実⑤次世代交流の促進―などを掲げた。

 5原則はアルジェリア人質事件の影響で演説での発表を取りやめた「安倍ドクトリン」の骨子。同ドクトリンでは、36年前に福田赳夫首相が掲げた、「軍事大国にならない」などの「福田ドクトリン」を大事にしてきた日本の姿勢も強調した。

 この日のユドヨノ大統領との首脳会談で、両国は経済関係の強化を確認した。共同会見で、安倍首相は鉄道や新空港整備などへの協力を表明。政治や安全保障分野での緊密な連携にも言及し「平和で繁栄したアジアのためにASEANと共に歩む」と宣言した。ユドヨノ大統領も「インドネシアと日本の協力を戦略的にベストな形で高めたい」と述べた。

(2013年1月19日朝刊掲載)

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