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73年 核兵器廃絶の誓い  広島きょう原爆の日

 被爆地広島は6日、原爆投下から73年となった。核兵器禁止条約が制定されて1年余り。核兵器保有国と条約推進国が分断したまま、国際的な緊張が各地で高まる中で迎える「原爆の日」。広島市は午前8時から、平和記念公園(中区)で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。安倍晋三首相をはじめ、米国の駐日大使が3年ぶりに参列する予定で、原爆犠牲者を悼み、核兵器廃絶を誓う。

 式典では、松井一実市長と遺族代表2人が、この1年に死亡が確認され、新たに5393人の名前を書き記した原爆死没者名簿を原爆慰霊碑に納める。名簿は115冊、計31万4118人になる。原爆投下時刻の午前8時15分には、遺族代表の自営業上峠賢太さん=中区、こども代表の三田小6年森下碧さん(12)=安佐北区=が「平和の鐘」を突き、全員で黙とうする。

 松井市長は平和宣言で、東西冷戦期のような緊張関係が再び高まる可能性を指摘。昨年7月に制定された核兵器禁止条約を「核兵器のない世界への一里塚に」と呼び掛け、世界の政治指導者に理性を持って廃絶に取り組むよう求める。朝鮮半島の緊張緩和の進展に期待感を示し、歴史を忘れた時に人類は再び重大な過ちを犯すとして「ヒロシマは継続して語り伝えなければ」と訴える。

 「平和への誓い」は、牛田小6年新開美織さん(12)=東区=と五日市東小6年米広優陽君(12)=佐伯区が発表する。85カ国と欧州連合(EU)の代表や、都道府県の遺族代表40人が出席を予定する。(野田華奈子)

川面に慰霊の火 ドーム前

 原爆の日を前に、広島市中区の原爆ドーム前の元安川で5日夜、かがり火を浮かべ、平和を祈る催しがあった。5台のいかだの火が水面を照らし、川辺から見詰める人々は、西日本豪雨の犠牲者への思いも重ねた。

 平和記念公園の「平和の灯(」から取った種火から点火。長さ約4㍍の木材2本を組んだ十字形のいかだが連なり、かがり火が揺らめいた。「核がなくなりますように」「世界平和」など、全国から届いた願い事を記した木の札約3千枚もくべた。

 広島県内の有志が参加する「100年後の広島を創ろう委員会」が企画。折笠広司代表(69)は「火に託した一人一人の思いが、平和な未来へつながる力になる」と話した。(江川裕介)

(2018年8月6日朝刊掲載)

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