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広島ユースホステル 広島市が3月末廃止方針

 広島市は、宿泊客の低迷や施設の老朽化のため休館している「広島ユースホステル」(東区牛田新町)を3月末で廃止する方針を決めた。一方、ユースホステルで続いていた平和学習の取り組みを市内の他の外国人向け宿泊施設で引き継げるよう支援する。

 指定管理者のNPO法人が経営難から辞退したのを受けて市は2012年4月、施設を休館。建て替えや改修をした上で再開するかどうかを検討した。

 その結果、建て替えに5億円、改修に4億円の費用がかかる一方、ユースホステルと同じように比較的安く泊まれる施設ができて利用客の大幅な増加は見込めない、として廃止を決めた。

 ユースホステルは被爆者が外国人向けに体験を語る平和学習の場でもあった。市は市内の外国人向けの旅館やゲストハウスに、同様の取り組みを続けてもらうよう呼び掛ける。英語の教材を配るといった支援を想定する。

 被爆体験を語ってきた梶本淑子さん(81)=西区=は「外国人や学生は熱心に聴いてくれた。残念だが他の施設から求められれば協力したい」と話す。

 ユースホステルは1960年に開業。ピークの72年度に2万5600人が利用したが、その後の利用者数は右肩下がりに。福島第1原発事故による外国人旅行客の大幅減も重なり、11年度は8246人に落ち込んだ。

 市は跡地の売却を視野に入れる。2月14日開会予定の市議会定例会に廃止条例案を提案する。(加納亜弥)

(2013年1月19日朝刊掲載)

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