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首相 禁止条約には触れず 平和記念式典であいさつ

 6日の平和記念式典で安倍晋三首相はあいさつし、核兵器のない世界の実現に向けて努力を重ねることや、非核三原則の堅持を強調した。一方で核兵器禁止条約にはことしも触れず、核保有国と非保有国の「橋渡し」を担う姿勢を示すにとどまった。

安倍首相あいさつ(全文)

 1発の原子爆弾が、街を一瞬にして破壊し、十数万ともいわれる貴い命を奪いました。あれから73年、一命を取りとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。若者の夢や明るい未来が容赦なく奪われました。

 原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々のみ霊に対し、謹んで、哀悼の誠をささげます。

 そして、今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。

 広島、長崎の悲劇を再び繰り返してはならない。唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けて、粘り強く努力を重ねていくこと。それは、わが国の使命です。

 近年、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化しています。

 真に「核兵器のない世界」を実現するためには、被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要です。わが国は、非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意です。

 その具体的な取り組みとして昨年、核軍縮に関する「賢人会議」を、ここ広島で開催しました。

 「賢人会議」を通じて有識者の知見も得ながら、核拡散防止条約(NPT)発効50周年となる2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう、積極的に貢献してまいります。

 また、その非人道性を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがわれわれにはあります。

 若い世代が、被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ。

 政府として、そうした取り組みをしっかりと推し進めてまいります。

 被爆者の方々への援護施策については、保健、医療、福祉にわたる支援の必要性をしっかりと受け止め、被爆者の方々に寄り添いながら、今後とも、総合的に推進してまいります。特に、原爆症の認定について、引き続き、一日も早く結果をお知らせできるよう、できる限り迅速な審査を行ってまいります。

 結びに、永遠の平和が祈られ続けている、ここ広島市において、「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことをお誓い申し上げます。原子爆弾の犠牲となられた方々のご冥福と、ご遺族、被爆者の皆さま、ならびに参列者、広島市民の皆さまのご平安を祈念いたしまして、私のあいさつといたします。

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