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核禁止条約 埋まらぬ溝 85ヵ国・EU参列 米大使 トランプ政権初

 平和記念公園(広島市中区)で6日開かれた平和記念式典には、85カ国と欧州連合(EU)の代表が参列した。米国のウィリアム・ハガティ駐日大使たち、核兵器を保有する7カ国からも出席。ただ、採択から1年を迎えた核兵器禁止条約の発効に向け、各国の姿勢は分かれたままだ。(桑島美帆、増田咲子)

 小型核兵器の開発を進めるトランプ政権下で、駐日大使が初めて出席。ハガティ大使は妻と4人の娘、息子たちと式典に臨んだ。松井一実市長が平和宣言を読み上げ「今世界では自国第一主義が台頭し、核兵器の近代化が進められている」と訴えると、真剣な表情で耳を傾けていた。

 核兵器禁止条約について、核保有国の英国のデイビッド・エリス臨時代理大使は、核兵器のない世界を目指しているとしつつ「英国は条約を採択しない」と明確に否定。「廃絶への現実的な方法ではなく、核拡散防止条約(NPT)を弱める恐れがある」と懸念を示した。一方、条約採択をけん引した隣国アイルランドのジェイミー・ウォルシュ外務省軍縮不拡散副局長は「われわれは必ず批准する。初めて訪れたヒロシマで、軍縮担当として全力を尽くそうと改めて思った」と力を込めた。

 6月の米朝首脳会談を受け、オーストラリアのリチャード・コート大使は「交渉が、北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化につながることを望む」と期待を寄せた。

 ハガティ米大使は式典終了後、記者の問いには応じず、無言で会場を後にした。7日朝、松井市長と懇談し、原爆慰霊碑に献花する。

(2018年8月7日朝刊掲載)

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